隣人と共存する生活の為の幾つかの方法【2014年11月号掲載】

最近メディアでは、隣人と共存しようとする家造りの新しい動きを積極的に報道しています。数日前には「とある団体が協同組合を結成し、古い戸建て住宅を購入してシェアハウスとして運営する」というニュースも耳にしました。私はこの話を聞き、心から応援す…

建築が造ってしまった隣人のいない暮らし【2014年10月号掲載】のあとがき

このコラムを読んでも日本に住んでいる方には実感が湧かないと思います。日本の感覚では「そんなに挨拶をしない訳無いじゃない」と思うでしょう。でも本当なんです。向かいの部屋の住人と偶然顔を合わせても、横目でチラッと見て終わり。それが韓国の流儀で…

建築が造ってしまった隣人のいない暮らし【2014年10月号掲載】

私は韓国に来る以前にはマンションというものに住んだことがありませんでした。 五歳の時から平均的な大きさの一戸建ての住宅に住んでいましたし、私の母親は今でもその家に住んでいます。私が住んでいたその町は数百年前からある、とても平凡な日本の地方都…

POWER TO THE PEOPLE【2014年9月号掲載】のあとがき

最初に一つだけ。この原稿を書いたのは2014年の事ですから、今から10年近くも前の事です。その後、日本でも一時人気のあった「ソルビン」の様に二人前のような一人前を販売する「かき氷屋さん」も増えました。そんな時代が来る前に書いたコラムであると思っ…

POWER TO THE PEOPLE【2014年9月号掲載】

数日前ソウル市内でクルマを運転していた時、とあるカフェの前にあったバナーを見て私は自分の目を疑いました。 「かき氷 一万二千ウォン」 「平均的な昼食代よりも高いかき氷を誰が食べるんだろう?」 「多分、店舗の賃貸料を値段にそのまま上乗せした価格な…

貴方はどんな風に暮らしたいのか?【2014年8月号掲載】のあとがき

このコラムを読み返して、考えました。 「何でこんなテーマでコラムを書いたんだっけ?」 コラムの冒頭に書いた様に、一人の読者さんからDMを受け取ったから、とも言えます。しかし、それはただの「きっかけ」で、根底にあった思いは何だったっけ? そんな事を…

貴方はどんな風に暮らしたいのか?【2014年8月号掲載】

数日前、一人の読者からこんなDMを受け取りました。 「こんにちは。寄稿されたコラムを読んでから偶然にブログまで見つけ、いろんなポストを読ませて頂きました。今まで漠然としか考えていなかった我が家の『家造りの夢』が具体化できそうな気がしてワクワク…

住宅建設の現場で瑕疵は誰のせいなのか?【2014年7月号掲載】のあとがき

このコラムで言いたかった事、それは『金額に合わせて無理な仕事をしろと要求しないで。相手は必ず予算に合わせて仕事をしますから』 このコラムは韓国の雑誌メディアの為に書いたものですから『韓国の社会蔓延している安全不感症という病』という表現をしま…

住宅建設の現場で瑕疵は誰のせいなのか?【2014年7月号掲載】

以前、郊外にある宅地で戸建て住宅の設計を依頼された時のことです。 その宅地は傾斜地を階段式に造成し、合計三十二の敷地に分割されていました。敷地の基準となる地面の高さ(レベル)に一定以上の高低差があるので、当然のことのように擁壁工事が必要でした…

工業製品にも国民性が出る?

ちょっと時間が経ったネタですが、9月の中旬に車のエンジンオイルを交換しました。ある日エンジンを掛けようとキーを捻ったところ(ちょっと車種なので)、液晶パネルにこんなメッセージが表示されました。 ​「top up the engine oil level」日本語に直せば「…

あの日あの場所で起こった事【2014年6月号掲載】のあとがき

このあとがきは、ポスティングしてから約1か月半後に書いています。このエッセイは、雑誌に掲載された当時最も反響が大きかったものの中の一編です。でも結局のところ、何も変わらなかったみたいです。私は『自らの行動をデザインする』という努力が必要なの…

あの日あの場所で起こった事【2014年6月号掲載】

今回も余りにも悲しい歴史が繰り返されてしまいました。韓国の社会は聖水大橋の崩落(*1)、三豊百貨店の倒壊(*2)などの過去の痛ましい出来事から何の教訓も得られないまま、無駄な歳月を過ごしていたみたいです。この国全体にはびこる総体的な脆弱性を、今回…

Style or Stylish? 【2014年5月号掲載】のあとがき

このコラムで言いたかったことを要約すれば、こんなものじゃないかと思います。 「私たちは本人も知らないうちに、今まで見て来た物や事を絶対的なモノサシだと信じ込んでしまい、その枠組みの中で苦悩と想像を繰り返してるのではないか?」 それは家造りに限…

Style or Stylish? 【2014年5月号掲載】

副題:空間に対する自分だけの感覚を探して… 先月のコラムでも言及しましたが、戸建て住宅の殆どは注文制作(オーダーメイド)であって既製品(レディメイド)ではありません。世界にたった一人しかいないあなたとあなたの家族の好み通りに家を建てると、その家…

住宅は建築か 【2014年4月号掲載】のあとがき

先ずは参考までに建築家キム・スグンさんについて。ソウルオリンピックのメインスタジアムを設計した方です。 それはそうと、私にこのエッセイを書かせたのはこの一言でした。 「建築家が意図する空間を実現する設計思想の純粋な表現の場」 私はこんな事言っ…

住宅は建築か 【2014年4月号掲載】

日本の建築専門月刊誌である『新建築/住宅特集』に過去のとあるエピソードが紹介されていました。建築家が集まった小さなパーティーでの出来事です。韓国の有名な建築家キム・スグンさんの東京大学大学院の同期生であり友人でもある磯崎新さんという大先輩の…

隠された真実を探す道程 【2014年3月号掲載】のあとがき

洋の東西を問わず、世界中には自分たちが売りたいものを売る為のそれらしい嘘、エセ科学みたいなもの、競争に勝つ為の攻撃的なセールストークが蔓延しています。そしてそのような嘘、エセ科学、攻撃的なセールストークを私たちはいつの間にか信じ込んでいま…

隠された真実を探す道程 【2014年3月号掲載】

ある日、施主さんと一緒に黄土大理石(黄土石の俗称:薄く板状に加工して床材等に使用)を取り扱っている業者を訪問した時のことです。その会社の社長が、 「黄土大理石の吸湿性をお見せしましょう」 と言って、サンプルの黄土石に噴霧器で水を吹き付けました…

お隣さんに恵まれる方法 プラス? マイナス? ゼロ? 【2014年2月号掲載】のあとがき

この「お隣さんに恵まれる方法 プラス? マイナス? ゼロ?」というコラムですが、簡単に言えば「家造りの黄金律」について書いたものです。「何事でも人々からして欲しいと望む事は、人々にもその通りにせよ」が黄金律、「何事でも人々からして欲しくない事は…

お隣さんに恵まれる方法 プラス? マイナス? ゼロ? 【2014年2月号掲載】

お隣さんに恵まれる方法 プラス? マイナス? ゼロ? 先月号のコラムで私は家造りを考えている読者の皆さんに、計画に先立って『想像すること』をお勧めしました。読者の一部の方は想像することを始めたばかりで、まだ頭の中の整理がついていない方もいるでしょ…

IMAGINE 【2014年1月号掲載】のあとがき

あとがきを何故書いているかと云うと…幾つかの理由が有ります。 先ずは外国の読者、外国のメディアの為に書いたコラムですから、その国の現状を想定して書いた文章な訳です。単純に日本語に翻訳された文章だけでは「何のこと?」「意味不明なんだけど」という…

IMAGINE 【2014年1月号掲載】

想像を通じて向かい合う家造りの真実 IMAGINE コラムの連載を引き受ける事になって最初に『どんなテーマから始めたらいいかな?』と、しばらく考えてみました。そして、そんな私の脳裏に浮かんで来た単語が『IMAGINE』でした。このコラムの読者のほとんどは、…