工業製品にも国民性が出る?

ちょっと時間が経ったネタですが、9月の中旬に車のエンジンオイルを交換しました。ある日エンジンを掛けようとキーを捻ったところ(ちょっと車種なので)、液晶パネルにこんなメッセージが表示されました。

​「top up the engine oil level」日本語に直せば「エンジンオイル継ぎ足してな」

前回オイルを交換したのが昨年の12月末(その時点で9カ月前)で、オイル交換周期の目安の 5,000キロ近く走行していたので「継ぎ足し」せずに交換する事にしました。

この車のエンジンオイルの容量は4.5リットル。4,600キロ程度を走る間に1リットル程が減った計算になるんですが…その減り具合も、整備工場の大将によれば「きわめて正常な範囲です

​それから整備工場の大将としばらくの間、雑談をする事になりました。

「フランスのエンジニアってエンジンオイルを消耗品ぐらいに考えてるみたいなんですよね。ディーラーの整備担当者と話をしてみると、エンジンかけてすぐの冷間時とエンジンが熱を持った時では金属の収縮・ 膨張現象の影響でピストンとエンジン・ブロックとの間隔が一定じゃないから最初から設計をそういう仕様にしてるって言うんですけどね…でもおかしいじゃないですか、フランスでも日本でも金属の収縮・ 膨張率は同じでしょ。だったら日本車のエンジンでも同じ様にオイルを沢山消費してこそ理屈に合ってる訳でしょ」

こんな話があります。

昔のメルセデスベンツは故障が少ない自動車メーカーとしてよく知られていました。しかし初代のMクラス(SUV)をアメリカ市場に向けて開発し、アメリカ現地にある工場で生産して販売を始めてからは、その評価にはケチが付き始めました。初代のMクラスは故障が頻繁に起こる車として悪名が高かったのです。

​それから、こんな話もあります。東ドイツを吸収して統一した後のドイツの自動車業界は、政府の方針に従い(旧東ドイツ地域の産業活性化の為に) 自動車に使用される各種の配線(ハーネス)類の納品業社を旧東ドイツ地域の企業に変更したと言います。それでドイツの東西統一後、2000年代の初頭までに生産されたドイツ製の車種の中には電気系統等、配線関係の問題による欠陥や故障が多かったと言います。

日本の自動車メーカーの製品も以前のようではありません。どの国で生産されたかにより、耐久性や故障率に差が出ると言われています。どんなに設計を他の国で行っても何の意味も無いのです。結局、実際に製品を造る現場で、その場で働く人たちが「まぁ、こんなもんで良いだろ」と考えるその水準(standard)が、その国の工業製品の規格(standard)になる、という話です。